秋田わか杉国体開会式です。4日間の熱い闘いが始まります。昨年から入場行進の人数が監督と選手4名になりました。フリースタイルの選手は試合が控えているので、監督の岡田先生(星城高校)とグレコ部隊の入場です。
大会愛称は「秋田わか杉国体」
大会スローガンは「君のハートよ位置につけ」です。
今回名工からは3名の選手が代表となりました。
50s級フリー石村健児
84s級グレコ里中淳哉
120s級グレコ土森泰
下里先生は今回愛知県チームのコーチです。
今回の国体の宿舎は「民泊」でした。地元の方々が国体のために「民泊協力会」を結成し、全国からきた選手団を各家庭で宿泊と世話をする、というシステムです。いつもの民間の宿舎と違い、もの凄い歓迎を受けました。秋田に入った翌日に歓迎会をして頂き、心のこもったおもてなしを受け、大感激です。食事はその地区の保健センターで当番の方々が順番で作ってくれます。食事が終わるとそれぞれお世話になっているお家へ「帰り」ます。1軒に2名ずつ計5家族にお世話になりましたが、食事やその他のお世話も含めて、我々10名の愛知県チームのために100名もの方々が関わって頂いたそうです。
試合になると、仕事の都合をつけて会場に大応援団で駆けつけ、僕たちのために声援をおくってくれます。「みんな家族です」、「あの子達は自分達の息子だ」、「秋田県より愛知県を応援する!」など、本当に家族同然に接してくれました。選手が試合で勝つと民泊協力会の方達は目を真っ赤にして抱き合って喜び、負けると本当に自分の息子が負けたように泣いて「よく頑張ったよ!」と声をかけてくれました。出会ってからまだ2・3日しかたってないのにこんなに僕たちのことを心から思ってくれるなんて・・・。僕たち選手団の心の中に何か熱いものが芽生えはじめていました。
その大応援のなか、50s級フリースタイル石村健児の登場です。チーム愛知の切り込み隊長!国体チームの遠征合宿で接戦をものにする力がついてきました。相手は福岡県の選手です。強い選手ですが、得意技がかかれば怖くない!
必殺「飛行機投げ」の大爆発!しかも2度も!一気にフォールだ!しかし惜しくも逃げられました。なんと1Pテクニカルフォールで先取!
2Pもガンガンいこう!
さすがに相手も飛行機投げは食わなくなりました。なかなかお互いに技が決まりません。タックルに入って持ち上げますがポイントに結びつかず・・・。1点とれば勝ちだ!しかしこのピリオドを接戦でとられ、3Pもとられてしまいました。1Pのフォールが悔やまれます。しかし本当にいい試合でした。紛れもなく「努力」でここまで来た、そう思います。
土森と里中がお世話になってるお宅です。なんと、2階に横断幕が・・・!
彼らの試合のときはこの横断幕が試合会場に掲げられました。
こんな国体初めてです!
国体は前半2日間はフリースタイル、後半がグレコローマンスタイルです。フリースタイル部隊は74s級の井上選手が5位入賞しましたが、基本的には残念な結果に終わっていました。グレコで巻き返すしかお世話になっている秋田の方々に恩返しできない!
84s級里中淳哉、頑張れ!
相手は千葉県の選手。果敢に攻めますがなかなか技がかかりません。里中は2年生です。国体チームの遠征合宿でも負けがこんで一番苦労していました。
結局、1回戦で姿を消してしまいました。
まだ2年生。この感動の秋田国体の経験を来年に生かそう!
でも、民泊の人たちに勝つところを見せたかったなあ・・・。
僕たちが食事を頂く保健センターの調理場です。毎日、朝晩と心を込めて食事を作って頂きました。国体が始まるまでに何度も集まって練習されたそうです。
試合に勝って恩返しがしたい!
いよいよチーム愛知の大黒柱、土森泰登場!ここまでチームは思うような結果が出ていません。最後の砦です。
土森は夏の全国グレコ大会で準決勝まで進みながら、結局5位に終わっています。それ以上の結果を出すために練習して、研究して、この秋田に乗り込みました。
1回戦はシードで2回戦からの登場です。相手は島根県の選手。この選手とは、合宿の練習試合でも勝っています。
確実にものにして、準々決勝に進みました。ここから先が問題です。
準々決勝の相手は奈良県の選手です。この選手は3月の全国選抜大会、8月の全国グレコ大会で負けた相手。彼は両大会とも決勝まで進んでいます。合宿でもよく練習試合をしましたが、今まで一度も勝ったことがありません。しかし、全部接戦を落としての負けだったのです。そして今回、またまた彼が立ちふさがりました。
「アイツに勝たねば上はないんだ。これは宿命だ」
よく合宿で一緒だったので友達です。が、だからこそ、今度こそ勝ちたい!
予想どおりまたまた接戦になりました。「スタンドで積極的に攻める!」スタイルを貫き、スタンドで1点先取!この1点が効いて彼から初勝利をあげました。こんな大舞台でこの結果は凄い!翌日の準決勝につなげました。
「準決勝も絶対勝って決勝までいけよ」奈良県の選手にいわれ闘志が沸いてきます。さあ、いよいよ準決勝。相手は佐賀県の選手。この選手には8月の全国グレコ大会の3位決定戦で負けています。絶対勝って決勝まで行くぞ!
またまた接戦になりました。1P先取。2Pも最後グランドを守り切れば勝利!が、なんとリフトされ、俵返し!そんな馬鹿な・・・。勝負は3Pへ。スタンドは得点がないままクロスボディの攻防へ。コインの優先権は赤!相手です。まずは相手の攻めを凌ぎました。さあ攻守交代。これで土森が30秒以内に得点できなければ負けです。落ち着いてローリングだ!なかなか回りません。時間がなくなります。「勝負だ!」渾身の力を込めたローリング!回ったーっ!残り時間僅か数秒でした。やったー!遂に決勝進出!もの凄くドラマチックな試合でした。
いよいよ決勝戦。名工としては、昨年、同じグレコの120s級で後藤先輩が優勝しているので、2年連続決勝進出となりました。先輩から後輩へ、たしかにひきつがれています。後藤先輩に続け!
相手は千葉県の選手。全国選抜と全国グレコを制した「二冠王」です。自信を持って行くぞ!
しかし、なかなか技が掛かりません。相手のローリングも強烈です。結局、決勝戦は負けてしまいました。しかし、準優勝は立派です。
試合後、息がまだ上がった状態で、土森がお世話になったお家のご家族と記念撮影。土森パパとママも名古屋から応援に駆けつけ、一緒に写真に収まりました。
「よく頑張ったね。接戦をものにして本当に感動したよ」と、秋田のお父さん、お母さん。「自分の息子ながら本当に感動しました。泰にありがとうといいたい」と、名古屋から駆けつけた本当のお父さん、お母さん。
会場の観客席に向かって「応援、ありがとうございました!」と会場中に響き渡るほど大きな声で土森は泣きながら挨拶をしていました。その姿をみて、ただただ感動する愛知県チームのコーチでした。
堂々準優勝の表彰台です。激しい気性のある子でしたが、本当に人間的に成長しました。人間的成長とレスリングの成長は比例することが多いと思います。昨年の後藤先輩より不器用なタイプですが、努力でここまできたと思います。
大学からもお誘いの言葉を頂きましたが、就職をすると決めました。レスリング選手として最高の終わり方ができたかな。
卒業しても、長くレスリングを続けてほしいです。
チーム愛知で記念撮影。まだ秋田に残っていた成年の選手も土森の応援に駆けつけてくれました。
50s石村健児(名工)、55s深石譲(星城)、60s内田翔太(一宮工)、66s間瀬雄介(星城)、74s井上裕彰(星城)、84s里中淳哉(名工)、96s浅田真司(星城)、120s土森泰(名工)、監督岡田洋一(星城)、コーチ下里勝(名工)
成年には名工OBの平尾清晴(日体大4年)、西達也(日体大3年)もいます。
今年も本当にいいチームになりました。
最後の晩、土森と里中がお世話になったご家庭での記念撮影です。なんと、土森のご両親もこの日はここでお泊まりになったそうです。みんなで鍋をかこんで最後の夜となりました。「最初来た時は、なかなか話もしなっかったけど、だんだん慣れて、自分から話しをしてくれるようになりました。この数日間、本当に楽しかった。彼らはもう息子同然です。」
今回の国体では、あらためて「人の心の温かさ」に触れました。しかも強烈に!心を揺さぶられました。無条件で、理屈抜きに「人のために尽くす」ことができる人間になりたい!本当にそう思います。秋田の皆さんに教えて頂きました。
「ありがとうございましたーっ!!」
平成19年度 国体フォト